人目につかず、汗をかいても川で身を清められ、身体を休められる小屋がある。训练にはほぼ理想的と言っても过言ではない。
「はぁっ……!ふぅっ……!」
いつものように剣を振り、技を磨く。勇者になることがゴールではない。むしろここからがスタートなのだ。
そう気合いを込めていたからだろうか、梦中になって剣を振っているとすでに太阳は山阴に半分ほど沈んでいた。
光の世界から闇の世界へ。いくら勇者になれると言えど、世の摂理までは変えられない。
そろそろ戻るべきだろう。あまりに帰るのが遅くなってしまえば寮の门限を破ることになる。最悪窓からでも入れないことはないが、わざわざ规则を破る必要もない。
いつものように小川の水を手のひらで掬い、顔を洗う。训练で火照った体に冷たい水が気持ちいい。
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ほうと一つ息をつき、几ばくか逡巡してから木刀を戻すために小屋に向かう。
さすがに部屋にまで木刀を持って帰る気はない。いや、别に持って帰ろうと咎められる事はないだろうし、そもそも木刀を含め训练を隠していたのは勇者になるために集中して训练に明け暮れるため。すでに勇者の内定が出た今となっては特に隠すこともないだろう。
だが、持って帰る理由もないのだ。咎められないからと言って、わざわざ无駄に好奇の视线を向けられる理由もない。
いろいろと考えたが、结局はいつも通り片付けをするだけのことだ。
それほどかからずに小屋に着き、扉を开ける。
この三年间でずいぶんとボロくなり、开きづらくなった扉。特に金具に锖がつき始めたせいか一日放置するだけでいやに开けづらくなる。
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だが、今日はやけにスムーズに开いた。想定よりもずっと軽い扉に、势いを杀しきれず小屋の中に二、三歩ほど歩みいってしまった。
勇者になれるからと少し気が抜けていたか、そう反省し自嘲の笑みを浮かべ顔を上げた瞬间、
「!?」
视界に二人の女の姿が映った。同时に、视界に薄い桃色のもやのようなものがかかる。
目の前には赤い髪を肩の长さで切り揃えた活発そうな少女と、小柄で无口そうな黒髪の少女。
そして二人の姿を认めたのを见计らったかのように、背后の扉がガタリと音をたて缔まった。
急いで振り替えると、いつの间に现れたのか金髪のおっとりとした见た目の少女、修道服を着ている事から恐らくシスターだろう少女が后ろ手に扉に键をかけていた。
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