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日文65(51)


 
 精も魂も尽き果て、立っていることすらままならない俺を女は柔らかな身体で支える。
 俺が败北し、ヒーロースーツを夺われ、あまつさえ敌に协力する。彼女たちの侵攻をまだ谁も気づいていない。そして、侵攻に気づいたヒーローは、仲间にそれを知らせることもできず堕ちていくのだろう。
 今の、俺のように。
 
 きっと、世界は変わる。俺が守ろうとしていた世界はきっと変わってしまう。
 
 堕ちきった精神の仅かに残ったそんな悔恨の気持ちも、女の甘い香りを嗅いでいるうちに消えていった。
 
 

世界には魔王と呼ばれる悪がいて、魔王を倒すために勇者が生まれる。
 物心ついた顷から、両亲にそう教わってきた。かつては魔王などいない时代があったというが、それも物语の世界でしか无くて、生まれ育った村の周りにはいつも魔物が潜んでいて、やっぱり今僕が生きている时代には魔王はいるらしい。
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 だから幼き顷の僕は、子供特有の英雄愿望の例に漏れず愿ったのだ。
 
「ねぇママ!ボク将来勇者になりたいっ!」
 

 そして──
  
「おめでとうラルス君。今年度の最优秀生徒は君に决まったみたいだよ。正式発表はもう少し先になるがね」
 
 渋い灰色の髭を生やした教头に呼び出された先の部屋で、开口一番そう言われた。
 勇者になりたいと愿ったあの日から十年。勇者学校と呼ばれる学校に入り三年。ついに僕は、勇者への、英雄への道のスタート地点に立った。
 
 
 大きな梦を持った幼き僕は、勇者になるための训练を始めた。村の兵士や元冒険者だったというおじさんに剣を习い、魔法を习い、そして勇者のなりかたを学んだ。昔は、勇者は神のお告げで决まっていたらしい。だが、そのお告げもいつの间にか无くなってしまい、今では勇者学校というところで最も优秀な成绩を修めることで勇者となれるらしい。つまり、一年に一人だけ勇者が生まれる。魔王が一人なのに対し勇者の数が多いと、不公平だと思わないでも无かったが、后から魔王も何十年もすると复活すると知り、そんな考えも消えていった。 本文来自nwxs5.cc
 ちなみにおじさん达も昔は勇者学校を目指していたらしい。だが入学は叶わず、勇者にはなれず、魔王を倒すためではない、人々を魔王から守るための仕事についたんだとか。
 别に情けないとは思わない。むしろそれが当たり前のことなのだ。勇者学校に入るだけで并の才能ではない。厳しい试験を越えたほんの一握りの人间だけが入学でき、その中で最后は一人にまで绞られる。天才だと言われてきた人间の中で、一番以外は勇者にはなれない。
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