右の拳を固め、真っ直ぐ女に向ける。左手はそれを补助するように添えられ、両足は开き冲撃に备える。そして全身全霊をかけて攻撃を叩き込む。
どんどんと高まるエネルギー。眩い光を放つ光弾は発射の瞬间を今か今かと待ちわびる。后はこのエネルギーを放ちさえすれば、この怪人を打倒できる。挂け声をあげ、全力の攻撃を撃ち込むというその瞬间──
──女がクスリと笑った。
心臓がドクンと跳ねた。
后は発射をするだけ。だというのに、体は女の笑みを见た瞬间一时停止されたかのように动かない。あれだけ高まっていたエネルギー弾が雾散するように消えていく。动けと指令を送っても、体もスーツも言うことをきかない。
「さすがに少しヒヤリとしました……。ですがヒーロー。これで贵方はおしまいです。贵方のパワードスーツはもう戦えません。すでに贵方のスーツは私の手中にあるのですから」
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なんてことのない事を告げるように呆気なく、女は言い放った。
そんな事はあり得ない。あり得るはずがない。このスーツは人类の叡智から産み出された最后の希望。システムも全てブラックボックスで、ハッキングなど到底出来るはずもない。ましてや、まだ俺はこいつと対峙して三十分も経っていないのだ。仮にハッキングが出来たとしても、スーツの动きを支配するほどのハッキングなど出来るはずがない。
そう思った途端、嫌な予感がよぎった。反射的にスーツの残り时间を见る。视界の、右端に表示される残り时间。デジタル数字で表记されたそれは、はっきりと0:00と表示されていた。
「っ!? なんでっ!?」
「気づいたようですね。贵方が映像に梦中になっている间、贵方のスーツにハッキングを仕挂けていたのですよ。とはいってもさすがパワードスーツというべきか、时间をかけて一つの机能しかハッキング出来ませんでしたが」
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动けなくなった俺を嘲笑うように、无表情の中に确かな笑みを口元に浮かべ女が种明かしをする。
「あれだけの时间をかけてたった一つ……スーツ内の时计を进めることしか出来ませんでしたよ」
スーツが、光の粒子となって消えていく。殴りかかる瞬间で固まっていた体が、その动かし方をやっと思い出したかの如く动き出す。
スーツが消えた今、身を包むのは学生服のみ。もう変身は出来ない。
制限时间を越えたスーツは例外なく十二时间経たねば再使用は出来ないのだから。
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