そのクマのぬいぐるみをそっと、蛍ちゃんの枕元に置く。
间近に见る蛍ちゃんは、ハッとするほど绮丽な顔立ちをしている。
勿论、邪な気持ちを抱いたりはしない。
そんな気持ちを抱く対象と见るにはまだ若すぎる。
(寝顔が天使すぎるな。10年后とか、凄い美人になってそう………)
そんな感想を抱きつつ、部屋の中を见回して、テーブルの上に置かれたものに気づく。
お皿とコップ。
(クッキーと牛乳か………)
日本ではあまり普及していない気がするが、西洋ではサンタさんに対してクッキーと牛乳でおもてなしをするのが一般的なのだ。
(せっかくだからな……いただきます)
蛍ちゃんを起こさないよう、慎重にテーブルの傍に移动して、挂けられていたサランラップを慎重に取り外す。
クッキーを一枚手に取り、頬张る。
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噛むと音が立ちそうなので、唾液でゆっくりと溶かして、饮み込む。
(甘くておいしいけど、水分持っていかれるな)
そんな感想を思い浮かべつつ、牛乳を饮む。
仄かな甘みが体中に染み渡っていくようだ。
(やっぱクッキーには牛乳が合うな、うん)
用意されていた6枚のクッキーと牛乳を胃に流し込む。
寒空の下、重いプレゼントを担ぎ、谁かに见られやしないか、子どもを起こしてしまわないだろうかという极度のプレッシャーの中で任务遂行に当たるサンタにとって、クッキーと牛乳の甘さと、これを用意してくれた子どもの思いやりが実に心に沁みる。
心だけでなく、心なしか、身体も温かくなってきた気さえする。
もうちょっと顽张ってみよう、そんな気分になる。
たぶん、世界中のサンタクロースが同じような想いを抱いている事だろう。
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屈强な公认サンタクロースたちも、たぶん。
(―――ごちそうさま。さて、まだまだ周らないといけないし、そろそろ行くか)
长居は无用、とばかりに踵を返そうとして。
「―――ん」
びくん、と硬直する。
蛍ちゃんが寝返りを打ったのだ。
どくん、どくんと心臓が早钟を打つのを悬命に抑えながら、中腰の姿势で息も瞬きも止め、蛍ちゃんの様子を窥う。
寝返りを打って顔が窓侧に向いてしまったので、こちらからだと寝ているかどうか顔で确认することはできない。
もし蛍ちゃんが起きてしまえば、任务は失败。
幼気な少女の梦を壊してしまうことになるのだ。
生きた心地もしない数秒が、気が远くなるほどゆっくりと过ぎていく。
―――大丈夫。
蛍ちゃんの寝息は规则正しいものに戻っている。
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