その言叶に反応してかえでの顔を见ると、微量の不安と真挚さとが総太郎には伝わってきた。
このセックスはただ総太郎に上下関係を刻み込むためのものではなく、彼女なりに総太郎に爱情を伝えたいという思いもあったのだろう。
「さすがに、もうわたしをそういう目で见られるようになったでしょ?」
不安を晴らしたがっているような言叶だ。総太郎はふっと笑みを浮かべる。微笑ましく思ったのもあるが、感心もしたのだ。
兄と恋人になりたいと思って関係に及ぶのには、大きな勇気が要るのは间违いない。ある意味で、総太郎はそのことに感心したのだ。
そして、そうであるなら自分も、それ相応の覚悟を见せねばならなかったのだ。
(俺は覚悟が足りなかったのかもしれない。こいつが本気で俺と结ばれたいと思っているんなら、どういう返事をするにしても正面から受け止めてやらなきゃダメだったんだ。俺は今まで、そうできてはいなかったな)
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真剣な想いには、どういう返事になるにせよ真剣に応えねばなるまい。
(今までは伦理観に逃げてしまっていたようなもんだ。俺がこいつのことをどう思っているのか、しっかり考えないと)
幼い顷から、妹との恋爱や性行为などはいけないことだと何となく感じながら生きてきたが、しっかり考えたことはなかったように思う。
性対象としては、もう完全に兴奋できる相手になってしまった。何度も射精させられて、无理やり意识を変えられてしまったというのが実际のところだが。
そして、ややあって総太郎は口を开く。
「分かったよ、かえで。俺もお前のことは女として见ることができる。ここまでされたから分かったことでもあるが……」
「ホント!?」
「ああ。でも、それでも俺はお前とは兄妹のままでいたいんだ」
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それが伪らざる本音だった。
「わたしが胜ったんだから、言うことは闻いてもらわなきゃ困るんだけど」
「分かっているが……俺も、妹に负けたままでは终わりたくない。もう一度だ。俺にもう一度だけチャンスをくれ」
みっともないことは分かっていたが、総太郎は一生の愿いのつもりでかえでに头を下げた。
「俺は修行の旅に出る。戻ってきたとき、当主の座を取り戻すためにお前に挑戦する、そのための武者修行だ」
そこまで総太郎が言うと、かえではふっと笑みを浮かべる。はじめから分かっていたとでも言いたげな表情だ。総太郎のあきらめの悪いことは、一番分かっているはずなのが彼女だった。
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