「え……本気なのか?」
今から冴华に挑むつもりだとは。それならば、もう完全に斤木流当主のつもりでいるということになる。
「本気だよ、今は斤木流が神仓流に挑んでるわけだし、わたしもそれに参加する。当主なんだから」
それはなにかおかしいような気もしたが、総太郎はそれよりもかえでのことを心配した。
「しかし、あいつには秘法は効かないぞ」
秘法が使えないのであれば、斤木流と神仓流の相乗効果によって强くなっている今のかえでの実力は充分に発挥されない。それでは冴华には胜てないと総太郎は言外に言い、かえでもそれは理解しているようだった。
「……そうだけど、挑戦はするよ。お兄ちゃんがするはずだったものを邪魔したんだし、かわりに挑むのは当主としての责任でしょ。これからのためにも、わたしはそれだけの覚悟は见せる」
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そう言ったかえでの顔には、确かに覚悟のようなものが感じられた。当主の自覚がすでにかえでにはあるのだろうか。たった今、その座を得たばかりだというのに。
妹が见せた大人びた表情に、総太郎は思わず目を见张った。そして、かえではややあって表情を和らげる。
「心配しなくても、わたしはここで终わったりはしない。いずれは冴华に胜てるように力をつけていくから」
かえでも冴华との力の差は自覚してはいるのだ。それでも総太郎のかわりに挑もうとしている。
総太郎としては止めるべきかと思うのだが、かえでの気が済むようにさせてやりたいという気持ちが上回り、気がつくとうなずいていた。
「わかった、好きにするといい。もう当主はお前なんだ」
「うん。で、お兄ちゃんには冴华との胜负を见ていてもらおうと思うけど、その前に、景気づけしてからにしたいんだよね」
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少し頬を赤くしつつ、かえでは総太郎が寝転がっている布団の上に乗ってきた。総太郎にもさすがに何をされようとしているのか分かり、抵抗しようかと一瞬考えるのだが――体力的にも立场的にも无理だということをすぐに悟るのだった。
「ふふん、お兄ちゃんは全裸になってるのにわたしは全部服を着てるのって、なんだかドキドキしちゃうなあ」
「ど、どうするつもりなんだ?」
ミリエラの制服に身を包んだままのかえでは、胜负が终わった今こうして见ると大人びて见えて、総太郎はついどきりとしてしまう。
しかし、服を着たままということは、いきなりセックスをするつもりではないのだろう。果たして何をされてしまうことか。
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